ここ数年、大きな盛り上がりを見せるアウトドア、キャンプブームですが、昨今のコロナ禍の影響によって、プライベート空間を維持しやすいキャンピングカーの人気も非常に高まってきています。
しかし、「キャンピングカーって、大きいし、高いし、維持費もかかるんでしょ?」
と購入をあきらめている方もいることと思います。
でも実は、一口にキャンピングカーと言っても様々で、普段使いでも違和感なく使えて普通車からでも乗換えやすいタイプもあります。
そこで今回は、初めての方でも普通車から乗換えやすく、普段使いにも使える「バンコン」と呼ばれるタイプのキャンピングカーをご紹介してゆきます。
キャンピングカーの種類
キャンピングカーは非常に多種多様で、大きさやスタイル、用途などの違いでいくつかのタイプに分類されます。
まずは、キャンピングカーの種類についてざっと「おさらい」しておきましょう。
キャブコン
多くの方がキャンピングカーと聞いて思い浮かべるのがこのタイプでしょう。
キャブオーバートラック(※)の荷台に「シェル」と呼ばれる「箱」を積んで、箱の内部を居住空間に改造した本格的なキャンピングカーを「キャブコン」と呼びます。
キャブコンのメリットは、別荘のリビングルームやベッドルームを移動式にしたような豪華な室内でゆったり寛ぐことができる点です。
車種によって、大人4~6人がゆったりできる室内には、電子レンジや給水設備、エアコンやヒーター等を備え、トイレやシャワーまで装備しているケースもあります。
デメリットとしては車体が大きいため、運転には慣れや熟練が必要だったり、一般の駐車場には止められない、通過できない高架下がある、燃費が悪い等があります。
ただし、8ナンバー登録になるため税金などは思ったほど高額ではありません。
※キャブオーバートラックとは、運転席に下にエンジンを積んでいるため、ボンネットのないスタイルのトラックを指し、トラックの荷台にシェルを積んだタイプを「キャブコン」(キャブオーバートラック・コンバージョン)と呼びます。
ちなみに「コン」とはコンバージョン(改造)の意です。
バンコン
バンコンは、商用バンの荷室を改造して居住スペースや就寝設備を効率よく配置したキャンピングカーで、正式には「バンコンバージョン」といいます。
バンコンの改造は車内が主で、外観は基本的にはべース車両のままの場合がほとんどで、キャブコンのような見るからにキャンピングカー然とした外観は持っていません。
その目立たない外見は、違和感なく普段使いにも利用でき、運転しやすく取り回しが良い、さらに税金面等で優遇されるなどが特徴です。
反面、デメリットとしては、キャンピングカーとしては「室内に余裕がない」「設備が貧弱」「大人数での利用に向かない」などがあります。
その手軽さや、普段使いにも使えるなどのメリットが受けて、現在の日本では最も売れているキャンピングカータイプとなっています。
軽キャンピングカー
軽自動車のキャブトラックやバンをベース車にしたキャンピングカーで、一般的には「軽キャン」と呼ばれることがあります。
軽自動車ベースで括っていますが、軽キャンには軽トラックをベースにした「キャブコン」もあれば、商用バンをベースにした「バンコン」も含まれます。
いずれのタイプでも、軽キャンの最大のメリットは税金・保険料・駐車料金・高速道路代など、維持費の安さです。
デメリットとしては、「車内の狭さ」「エンジンパワー不足」などが挙げられます。
バスコン
日本ではあまり見かけませんが、バスの車内を改造したキャンピングカーで、何と言っても広大な室内が魅力です。
キャンピングトレーラー
普通車で牽引するタイプのキャンピングカーで、自走式でないトレーラータイプを言います。
クルマを買い替える必要なくキャンピングカーを入手でき、普段は切り離しておけば車を単独で使用できますし、キャンプ場に止めて切り離せば車で周辺施設へ出かけることも可能といったメリットがあります。
反面、それなりの運転技術が求められる上、2台分の駐車場が必要、一般道を牽引して走行するにはトレーラーもナンバー取得が必要など、税金や諸経費が2台分かかるのはデメリットです。
キャンピングカー買うならバンコンがおすすめな5つの理由
ここまで見てきたように、一口にキャンピングカーといっても様々なカタチ、大きさ、スタイルがあり、利用者が何を求めるかによってお勧めのキャンピングカーは異なります。
もしキャンピングカーの購入が初めてで、キャンピングカーと普段使いの自家用車を兼用したいと考えているのなら、間違いなく「バンコン」がお勧めです。
筆者がバンコンをお勧めする訳は以下の5点です。
(1)購入コストがキャブコンにくらべてリーズナブルであること
(2)普通車とくらべても税金・自賠責保険料などの諸経費は大きな違いはないこと
(3)自宅や近隣の駐車場に駐車できるため、普通車と同等の駐車費用で済むこと
(4)日々の買い物や家族の送迎でも違和感なく使えること
(5)ごく普通に運転でき、特殊な運転技術が必要ないこと
以下に、おすすめの理由を1つずつ解説してゆきます。
購入コストがキャブコンにくらべてリーズナブルであること
キャンピングカーを選ぶ際「購入価格」は大きな要素ですが、バンコンはキャブコンに比べて割安な価格設定である場合が多く、購入ハードルが低めと言えます。
キャブコンは、車体形状まで変更するなどして快適性を突き詰めたキャンピングカーであり、プロパンガスコンロ、冷蔵庫、給排水設備、エアコン、ヒーター、シャワー、トイレなどフル装備を前提に作られているため、どうしても高額になってしまいます。
標準装備の車両で500~600万円から、各種オプション装備を注文した場合には、1000万円を超えるケースも珍しくありません。
それに対しバンコンは、内装の改造が中心でありキャブコンほどの豪華装備が望めないため、標準装備で300~400万円からフル装備でも700~800万円程度と、キャブコンに比べるとかなりリーズナブルな価格で購入することが可能です。
バンコンは維持費を安く抑えられる~キャンピングカーの年間法定費用
普通車、キャブコン、バンコン、軽キャンの全額や自賠責保険などの「法定費用」を一覧表にまとめました。
各車両は、軽キャンを除いて2,000ccガソリン車、車両重量2トン以下を想定、車検期間が2年の車両は1年分に換算しています。
乗用車 | キャブコン | バンコン | 軽キャン | |
登録 | 普通車 | 特殊車両 | 小型貨物 | 軽貨物 |
自動車税 | 36,000円 | 31,600円 | 16,000円 | 5,000円 |
車検 | 2年 | 2年 | 1年 | 2年 |
重量税(1年) | 16,400円 | 12,300円 | 9,900円 | 6,600円 |
自賠責(1年) | 12,700円 | 13,930円 | 14,280円 | 12,550円 |
車検代行料 | 25,000円 | 25,000円 | 50,000円 | 20,000円 |
1年間コスト | 90,100円 | 82,830円 | 90,180円 | 44,150円 |
軽貨物ベースの「軽キャン」が圧倒的に低コストですが、「8ナンバー」や「4ナンバー」のキャンピングカーであっても、普通車と比較した場合には毎年の自動車税、車検ごとの重量税・自賠責保険料については、大差ないことがわかります。
4・1ナンバーの「バンコン」は車検期間が1年間のため、車検費用が毎年発生するという点は注意が必要です(なお、車検代行料は概算です)。
駐車料金は1台分~普通車サイズの駐車場に駐車できる
キャブコンは車体が大きく、一般の駐車場には止められないことが少なくありません。
自宅のカーポートはもちろん、自宅周辺の月極駐車場でも1台ぶんのスペースでは止めきれず、2~3台ぶんに跨って止められているのを見かけることがありますが、月極駐車料金は占有している台数分かかります。
また、借りられる月極駐車場が見つからない場合には、郊外で大型キャンピングカーを専門に預かるサービスもあります。
【キャンピングカー預かりサービス】
都会では駐車場をみつけにくいキャブコンなどの大型キャンピングカーを郊外で専門に預かるサービスもあります。項したサービスを利用することで、自宅や近隣に駐車可能な駐車場がなくても、キャンピングカーを所有することができますが、保管料や預かり場所までの交通費などが余計にかかってしまうため、コスト的にはさらに増大することとなります。
バンコンの場合には、車体自体をストレッチして大型化しているケースは稀ですので、普通車用の駐車場に問題なく駐車可能なため、駐車場関連のコストがかさむことはありません。
見た目はただのバン~普段使いに違和感なく使える
乗用車からキャンピングカーに乗換えることを想定した場合、キャブコンやバスコンで、日々の買い物や家族の送迎や外食などといった、いわゆる「普段使い」は厳しいでしょう。
また、冠婚葬祭などでは、いかにもキャンピングカー然としたキャブコンでは乗ってゆく先が限られる場面もありそうです。
商用バンの見た目を持つバンコンであれば、乗って行く先を選ばず、日々の買い物や送迎はもちろん、冠婚葬祭でも違和感なく使用できます。
また、燃費の面からも普通車と大差ない燃費のバンコンは普段使いに向いていると言えます。
ごく普通に運転できる~特殊な運転技術は必要ない
バンコンに使われる代表的な車種は、トヨタの大ヒット商用バン「ハイエース」です。
最近では、さらにもう1サイズ小さいクラスの、トヨタ・タウンエース、日産・NV200などの小型商用バンベースのバンコンも人気を博しています。
ハイエースやタウンエース、NV200の車体寸法は以下の通りです。
全長 | 全幅 | 全高 | |
ランドクルーザープラド | 4,825mm | 1,885mm | 1,850mm |
ハイエース | 4,695mm | 1,690mm | 1,980mm |
5,380mm | 1,880mm | 2,105mm | |
– | – | 2,285mm | |
MAZDA2 | 4,065mm | 1,695mm | 1,525mm |
タウンエース | 4,275mm | 1,675mm | 1,890mm |
NV200 | 4,400mm | 1,695mm | 1,855mm |
ハイエースは全長で2種類、全幅で2種類、全高で3種類のバリエーションがあります。
- 全長 … ロングボディ(4,695mm)、スーパーロング(5,380mm)
- 全幅 … 標準ボディ(1,690mm)、ワイドボディ(1,880mm)
- 全高 … 標準ルーフ(1,980mm)、ミドルルーフ(2,105mm)、ハイルーフ(2,240mm)
普通車SUV「ランドクルーザープラド」と比較してもそのサイズは大差ありません。
また、タウンエースやNV200のコンパクトバンは、全長・全幅は、トヨタ・アクアや、マツダ2などの小型車と同等ですので、駅前の狭い道路でも、キャンプサイトまでの細いアプローチでも苦になりません。
ワンボックス形状のため乗用車に比べて側面の面積が大きく、高速道路などでの横風に注意が必要ですし、ロングボディでは右左折時の内輪差には配慮も必要ですが、余程の初心者でなければすぐにコツが掴める程度の違いと言えます。
バンコンがおすすめの理由まとめ
【バンコンのおすすめポイント1】
乗用車への乗換えと大差ない金額での購入が可能。
法定費用等の優遇があり、駐車場や高速道路の利用料は普通車並みである。
【バンコンのおすすめポイント2】
キャンピングカーと普段使いの用途別に複数の車両を所有する必要がなく、日々の買い物でも、家族の送迎でも、冠婚葬祭でも、どこにでも乗って行って違和感がない。
【バンコンのおすすめポイント3】
運転や駐車場、高速道路利用など、普通車と大きな違いがなく自然に乗換えられる。
【バンコンのおすすめポイント+α】
手足を伸ばして就寝でき、プライベートな空間を維持しやすい等の点を勘案すれば、withコロナにおける最大発生時の避難場所として大きな役割を果たせる可能性は高い。
もちろん、必ずしもメリットばかりではありません。
バンコンは、キャンピングカーとしては室内が狭い、装備が中途半端などのデメリットもありますが、日本の事情に照らせば、バンコンが最も高コスパで使い勝手の良いキャンピングカーだと自信を持ってお勧めできます。
乗用車にはない楽しさや活用方法と普段使いを両立できる「バンコン」への買換えを検討してみてはいかがでしょう。